責任

「こんにちは〜。八雲君いる〜?」
晴香はいつものように映画研究同好会の戸をあけた。
まず目に入るのは、この部屋の主であり晴香が探した人物、斉藤八雲。
今日も今日とて八雲は寝ぐせの頭に寝ぼけ眼をして開いた戸を見ている。
さりげなく右手を上げているのは、晴香に対するあいさつか。
「よう!晴香ちゃんか。」
そう言って振り返ったのは熊のような巨体を持つ後藤刑事。
「しかし、晴香ちゃんもアレだな、こんなやつに付き合っていたら一生孤独だぞ。」
笑いながら後藤はいつものセリフを言う。
「大丈夫ですよ、29になってももらい手がいなかったら八雲君に責任とってもらいますから。」
晴香は微笑みながらそう返す。
「勝手に人に付きまとって挙句に責任を取れとは君は自分勝手と思わないのか。」
晴香のセリフに反応した八雲がいつも以上に険のある声で言う。
晴香はなによ、と思わず言いたくなるのを抑え、震える拳も抑える。
「で、後藤さんはそんな雑談がしたいのでしたら帰ってください。」
そう言って八雲は後藤を外へ押し出す。
入れ違いで中に晴香を入れたかと思うと、バタンと力強く戸を閉める。
晴香が状況を把握するよりも早く、八雲は窓へ移動し、カーテンを閉める。
外からはどんどんと戸をたたく音と「八雲〜」と八雲を呼ぶ後藤の声が聞こえる。
おそらくドアを閉めた時に鍵もかけたのだろう。
「晴香・・・・・・」
戻ってきた八雲が右手を壁につける。
晴香は壁と八雲に挟まれる形で、背中を壁に預けて八雲を見上げる。

「僕だからって29まで待たなきゃならない理由はないだろ・・・・・・」
えっと、お粗末さまでしたっ
いや、絶対どこかで晴香ちゃんは八雲君に責任とってもらうから大丈夫ですって言っていると思うんですよね。
まだ、マンガ版と二巻しかちゃんと読んでいない(現在一巻読書中)状態で書いたからよくわからないけれど。
いつもこのやり取りを見ていてそんなことを思っています。
ちなみに後藤刑事は、石井が率先して立候補するぞ…もらい手に。と思っていたりいなかったり。
後は、八雲君が石井さんに牽制として目の前で晴香ちゃんにキスしているといい!!
個人的には、アレです。カーテンがめくれて、窓から後藤刑事と石井さんが二人の生キスを見ているといい(爆
まぁ、あのセリフを言った後八雲君が何をしたかは読者の想像に任せる方針で…
ってか、八雲君の部屋ってカーテンないですよね、ずっと気になっていたけど。
ちなみに八雲君が険のある声なのはその前(晴香の来る前)まで、後藤にからかわれているといい。
そんな暴走の塊です、はい。
やっぱり三十路はいろんな意味で区切りですよねー、たぶん。

戻りませう