一人でカギをかけていた。
奇異な目を向けられるから、
憐れむ目を向けられるから、
変人のレッテル貼られるから、
利用しようと近づいてくるから。
恨み声が聞こえるから、
嘆きの声が聞こえるから、
届けられない想い託しに来るから、
凄惨な現場を追体験するから。
普通の人の倍ものヒトに出会って、
母親に殺されかけて、
世界が僕を拒絶するなら、
僕が世界を拒絶すればいい。
君が僕を利用するなら、
僕も君を利用しよう。
人はヒトという記号。
いるもいないも僕には関係ない。
だから
ヒトが何を感じようと、
だましていようと、
関係なかったんだ。
他人だから。
あくまで遠目で見てくるヒトに
存在を認める義理はない。
それなのに、それなのに、
きれいと言った君の言葉
扉開けるカギだった。
なぜ開いたの?
何重にも鍵をかけ、
自分でも失っていた鍵を
どうして君は開けられた?
初めて届いたその白い手が
記号ではないヒトに感じて
何だろう、この気持ち
光を連れ込むこの手が暖かくて、
失いたくない、そう感じるんだ